新型コロナウィルスは転職市場にどのような影響を与えたか?

5月29日に緊急事態宣言が全国的に解除され、一旦はピークが過ぎ去ったかのように見える新型コロナウィルスですが、現時点で転職市場にどのような影響を与えているのか、また今後どのような影響を与える可能性があるのかについて分析・考察しました。

転職市場全体の動向

5月29日に厚生労働省の「一般職業紹介状況(令和2年4月分)について」が発表されました。以下のグラフは厚生労働省のホームページより転載しています。

出典:「一般職業紹介状況(令和2年4月分)について」(厚生労働省)

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有効求人倍率は2019年(令和元年)5月以降、緩やかな下降線を描いていました。とはいえ、下降幅は毎月0.01%程度であり、そこまで大きな変化はありませんでした。

有効求人倍率の算出方法
公共職業安定所(ハローワーク)に届け出があった求人数(前月までの繰り越し分も含む)を、同様に集計した求職者数で割って算出される。新卒の求職者数は人数に含まれない。

しかし、厚生労働省が新型コロナウィルスに対する注意喚起(当時は武漢で発生した原因不明の肺炎への注意喚起)をおこなった2020年(令和2年)1月以降、有効求人数が毎月5万〜10万件ずつ減少しており、その度合いは月を追うごとに大きくなっている状況です。

結果として、毎月0.5%〜1%程度のペースで求人倍率が低下しており、明らかに新型コロナウィルスの影響を受けていると考えられます。緊急事態宣言は解除されましたが、景気の先行きがまだ不透明な状況の中、積極的に求人募集する企業は少ないため、2020年末〜2021年夏頃までは有効求人倍率の低下が続く可能性が高いと予想しています。

(まとめ)転職市場全体の動向
・2020年(令和2年)1月以降、急激に求人数が減少したことに伴い、有効求人倍率が低下
・少なくとも2020年末〜2021年夏頃までは状況が好転せず、有効求人倍率の低下が続く可能性が高い

職業別の動向

続いて、以下3つの職業カテゴリに着目し、2019年12月〜2020年4月までの5ヶ月間の有効求人倍率、新規求人数、有効求人数、新規求職者数、有効求職者数の推移を調査しました。

今回調査した職業カテゴリ
専門的・技術的職業(ITエンジニア、機械・電気系技術者、医療従事者、福祉職など)
事務的職業(バックオフィス全般)
販売の職業(販売、営業全般)

 – 有効求人倍率

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・専門的・技術的職業
2019年12月〜2020年4月の期間で、0.62%低下

・事務的職業
2019年12月〜2020年4月の期間で、0.12%低下

・販売の職業
2019年12月〜2020年4月の期間で、0.36%低下

 – 新規求人数

期間中に新たに受け付けた求人数(採用予定人員)

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・専門的・技術的職業
2019年12月〜2020年4月の期間で、29,789件減少

・事務的職業
2019年12月〜2020年4月の期間で、15,417件減少

・販売の職業
2019年12月〜2020年4月の期間で、15,443件減少

 – 有効求人数

前月から繰越された有効求人数(前月末日現在において、求人票の有効期限が翌月以降にまたがっている未充足の求人数)と、当月の「新規求人数」の合計数

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・専門的・技術的職業
2019年12月〜2020年4月の期間で、55,807件減少

・事務的職業
2019年12月〜2020年4月の期間で、29,502件減少

・販売の職業
2019年12月〜2020年4月の期間で、27,396件減少

 – 新規求職者数

期間中に新たに受け付けた求職申込み数

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・専門的・技術的職業
2019年12月〜2020年4月の期間で、17,529人増加

・事務的職業
2019年12月〜2020年4月の期間で、17,281増加

・販売の職業
2019年12月〜2020年4月の期間で、4,875増加

 – 有効求職者数

前月から繰越された有効求職者数(前月末日現在において、求職票の有効期限が翌月以降にまたがっている就職未決定の求職者数)と当月の「新規求職申込件数」の合計数

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・専門的・技術的職業
2019年12月〜2020年4月の期間で、19,469増加

・事務的職業
2019年12月〜2020年4月の期間で、19,409増加

・販売の職業
2019年12月〜2020年4月の期間で、217人増加

(まとめ)職業別の動向

今回調査した3つの職業カテゴリ全てにおいて、2019年12月〜2020年4月の期間で新規求人数と有効求人数が減少し、新規求職者数と有効求職者数が増加したことにより、有効求人倍率の低下が見られました。

少なくとも今後半年〜1年程度は求人数が減少する一方、求職者が増加する傾向が続くことが予想されるため、2019年12月以前と比較すると転職の難易度は上がっていると言えます。

転職エージェントを利用する求職者の動向

あくまで当社のデータとなりますが、有効求人倍率が低下した2020年1月以降とそれ以前を比較すると、毎月の新規登録者数はやや増えている状況です。時期的な要因による増加も多少関係ありますが、新規登録=転職を検討している方の数は少し増えていると言えます。

しかし、書類応募などの具体的なアクションに進まれる方はやや減少傾向にあるため「積極的に転職活動をしている」方よりも、「情報収集している」「良いところがあれば転職を考える」方が以前よりも増えているようです。

転職エージェントを利用する企業の動向

一方で求人数には大きな変化があり、2020年12月以前と比較すると求人数は確実に減少しております。

その中でも特に影響が大きいのは、
・若手ポテンシャル(未経験者)求人
・メンバークラス、アシスタントクラスの求人
・バックオフィス求人(特に人事ポジション)
のカテゴリであり、多くの企業が採用をストップしている状況です。

これらのカテゴリへの転職を検討されている場合、以前よりも転職の難易度は格段に上がっているため転職活動の長期化も視野に入れて行動することをお勧めします。

また、募集中の求人であっても以前より採用ハードルが高く設定されていることが多く、企業が採用に慎重となっている傾向が強まっているため、「もはや転職市場は売り手市場ではない」という認識をお持ちいただいたほうが良いでしょう。

このような状況下において、これまで以上に積極的な採用活動を展開している企業もありますので、今後は採用に慎重な企業と採用に積極的な企業の二極化が更に進んでいくのではないかと予想しています。

(まとめ)転職エージェントを利用する求職者、企業の動向

・2020年1月以降の求職者数に大きな変化はなし(ほぼ例年通り)

・具体的なアクションに進む人数は減少していることから、新型コロナウィルスの影響を受けて、これまでより転職に慎重となっている求職者が増えていると考えられる

・若手ポテンシャル(未経験者)求人、メンバークラス・アシスタントクラスの求人、バックオフィス求人(特に人事ポジション)が激減

・もはや「転職市場=売り手市場」と言える状況ではなくなっている

 

 

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